声明 : 「スーパーシティ」法案を廃案にしよう!

衆議院本会議では4月16日に可決され、現在参議院において
いわゆる「スーパーシティ」法案(国家戦略特別区域法改定法)の審議
が始まっています。この法案は昨年の通常国会で廃案になり、臨時国

会でも提出見送りとなったものです。

 スーパーシティ構想とは、人工知能(AI)やビッグデータなどの 最
先端の技術を活用し、未来の暮らしを先行実現する「まるごと 未来都
市」をつくるものだと言われています。具体的には「自動走行」 「ドローン
での自動配送」「キャッシュレス決済」「行政サービスのIT 化」「オンライ
ン診療」「遠隔教育」「エネルギー、ごみ、水道などのスマートシステム」
「防犯・安全のためのロボット監視」など多くのメニューが 例示され、少
なくとも5つの領域を同時に行うことが指定を受ける要件とされています。
私たちはこの法案は、世界のプライバシー、個人情報保護の流れに
逆行するものであり、廃案にすべきであると考えます。

私たちはこの法案に関する重大な問題点を以下に二点指摘したいと
思います。
第一に、こうした構想は住民のニーズに基づいたものとならず、決定
されたサービスを享受したくなくても、自分の情報やサービスの提供を
拒否することができないことです。
私たちは国や自治体、企業に対して自らの欲するサービスを享受す
るために自らの情報を提供しています。私たちの住む自治体は長い時
間をかけて、私たちの様々な情報に基づき、その自治体にあったサービ
スを研究し、提供してきました。今回の法案はそうした地域自治の理
念に基づくものではなく、国や企業の求める効率優先の規制緩和を行
うものでしかありません。よってスーパーシティ構想とは、地方自治を破

壊するものです。

衆議院の審議においても、本人同意がどういう過程で保障されるのか、
サービス拒否が可能なのか、という点についての政府答弁は極めて曖昧
なものであり、到底納得のいくものではありません。
スーパーシティは無人の場所に作られるものではありません。長年生き
てきた住民が住まう場所に作られるものである以上、住民同意が最優

先されなくてはなりません。

第二に、住民の個人データが一元的に管理・利用され、監視社会
に道を開く危険性が高いことです。
現在国や自治体や企業はその都市の住民に関するデータを別々な
ルールに従って別々に管理運用しています。今回の法案の目的は、
様々に張り巡らされている規制を取り払って個人データを一元化し、
住民に対して「高い利便性」を提供しようとするものだとしています。
これは、「国家戦略特区データ連携基盤」に住民の個人データを集中
させ、サービス提供のために規制を取り払って自由に使用できるように

するものです。

内閣府は中国杭州市の事例として無人コンビニの展開を上げていま
す。無人コンビニではスマホアプリも必要としない顔認証でのキャッシュレ
ス支払いが可能となるとしています。もちろんこれは利用者の本人同意
がなければできませんが、顔認証システムの利用目的の限定や口座情
報との連動など新たなルール作りが必要であるばかりでなく、様々な規
制のため日本においては実現不可能です。最近実証実験がなされ、
話題となった大阪の地下鉄で顔認証による自動運賃支払システムが

これに近いものです。

確かにこうした規制を緩和して住民情報を一元的に管理することに
よって利便性を高めることは可能でしょう。そしてどういうメニューを選択
するかは住民の合意に基づくと説明されています。
しかし、これまでの国家戦略特区の在り方を見ているとその説明を鵜
呑みにするわけにはいきません。特区担当大臣・首長・事業者などで
構成する「区域会議」が住民の意向を受けて実施事業を選択するこ
とになっていますが、住民の意向の反映についてはかなり怪しいと思わ
れます。しかも「区域会議」から提案を受け取った首相が関係省庁に
特例措置の検討を要請できる「総理認定」という仕組みが用意され
ており、首相に包括的に規制緩和の対象を特定できる権能を与えて

います。

先述のような顔認証を利用したキャッシュレスサービスと現在コロナ
封じ込めのために使用されているコンタクトトレーシングの位置情報が
合体したらどうなるでしょうか。それは究極の住民監視システムの構築
を可能とするものです。

今回の法案は、国や企業の求める効率優先の規制緩和を行うも
のでしかありません。なおかつ私たちの貴重な個人情報は私たちの手
の届かないところで共有化され、私たちを監視管理していく高度な

監視社会への危険性を孕むものです。

 この法案は現在進行しているコロナ禍の真っ只中で提出されている
「コロナ便乗法案」であり、多くの市民は法案の存在や問題点も知ら
ないまま、成立させられようとしています。監視社会への道を開き、
不要不急の本法案は再度廃案とすることを強く求めます。

 2020年5月17日
 共謀罪NO!実行委員会
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会


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声明:緊急事態宣言を利用した監視社会強化に反対します


PCR 検査の拡大を!休業補償を!コロナデータの公表を!


4 月 7 日の緊急事態宣言から約一カ月がたちますが、安倍政権のコロナ対策への消極的
な姿勢が批判を受けています。何が問題なのでしょうか。それは、市民の生命が直接脅か
されているにもかかわらず、コロナ感染拡大防止に全力をあげているとは思われないから
です。
一つは、専門家のみならず多くの人から指摘されているように PCR 検査を広範に行お
うとしていないことです。検査を受けたくても受けられない多くの人がいます。なぜ、欧
州、アメリカ、中国、韓国などでは広範な検査が行われているのに、日本ではできないの
でしょうか。日本の検査数は人口との比較では世界では下位の方といわれています。その
ため、コロナ感染の実態を掌握することができず、市民にコロナ感染への不安をかりたて
ています。安倍政権はこの間のコロナ関連データを公表すべきです。
もう一つは、感染防止のために、人と人との接触の 8 割減少を呼びかけ、会社などの休
業、営業自粛を呼びかけながら、補償をしようとしていないことです。自粛を呼びかけな
がら補償がなければ、人は無理しても仕事をしなければなりません。世論の批判の前に、
一人あたり一律 10 万円の特別定額給付金支給を決めましたが、それでは生活への支援対
策は不十分です。私たちは生存の危機に直面しています。安倍政権は憲法で保障された市
民の生存権を補償するために全力をあげなくてはなりません。


安倍政権への疑念


安倍政権は、収束のみえないコロナ対策のために、5 月 4 日緊急事態宣言を延長すると
発表しました。緊急事態宣言は憲法で保障された営業、移動の自由、集会の自由など様々
な権利を制約するものです。コロナ対策のために、市民の生存権、基本的人権などに制限
を加えながら、コロナ感染防止には消極的な姿勢をみるとき、私たちは緊急事態宣言の延
長に根本的な疑問をもたざるをえません。多くの人が、安倍政権が PCR 検査に消極的な
のは、一貫して感染者数を低く見せようとしているのではないかと疑っています。という
のは、3 月 24 日のオリンピック延期決定までウイルス検査を意図的に抑制し、感染者数
を過少化するようにしてきたのではないかと思われるからです。それは、延期決定以降、
感染者数が急増したことからも明らかです。重大なことは、緊急事態宣言以降も感染者数
が意図的に抑制されていると思われることです。PCR 検査が少ないのです。これは、経
済との関係、というよりアベノミクスの最終的な破綻を恐れ、感染者数を意図的に過少化
するためと思われます。政権が、全力をあげてコロナ対策に乗り出せば、PCR 検査、抗
体検査の拡大、感染者対策、医療現場の負担減少を実現できないはずはありません。
安倍政権は、 PCR 検査を拡大し、感染の実態を公表せよ! は市民の声です。


緊急事態宣言を利用した監視社会強化の動き


コロナ問題を利用し、市民のプライバシー、人権を抑制するなどということはあっては
なりません。政権が PCR 検査を広範におこない、感染の実態を正しくつかむための努力
をしていれば、監視ツールの活用が大きく叫ばれることなどはありません。
月日、政府はプラットフォーム事業3 31 者と移動通信事業者に対してユーザーの移動
やサービス利用の履歴を統計的に集積 · 解析したデータを提供することを要請し、事業者
も応ずる方向を示しました。また、5 月には政府と連携し、民間団体が感染者と濃厚接触
した可能性を知らせる「感染者追跡アプリ」を一般公開するといわれています。位置情報
や購買・検索履歴はプライバシー、個人情報に深くかかわる問題です。政府は、個人情報
保護法に踏まえた対応をすると説明していますが、いまだに政府は、最高裁が被疑者に対
する令状のない GPS 捜査はプライバシーを侵害し違法とし、市民のプライバシーを守る
ために国会で GPS=位置情報の取得について議論し、立法化を求めたにもかかわらず、な
んの手もうっていません。また、政府 · 省庁のデータのずさんな管理を見ていると、政府
の説明は信用できません。そのことは、マイナンバーカードを市民への 10 万円の特別定
額給付金支給のために利用し、普及率をあげようとしていることからも明かです。
私たちには、政府が PCR 検査の不十分さに対する批判を監視ツールの導入で逃れよう
としている、監視社会化へのテコに利用しようとしているとしか思われません。


政府へのチェックを強めよう!


他国の状況をみても、コロナ対策で中国ではウイグル族への弾圧に利用したドローンや
顔認証のほか コロナ感染者との「濃厚接触検出器」アプリをスマホに配信し、公共交通機
関で居合わせた者を含めて自主隔離できるようにし、表示を警察がチェックできるように
しています。韓国でも自宅隔離を命じられた市民の位置情報を GPS で追跡するため、行
政安全部が開発のスマホアプリを利用しています。私たちは、「緊急時」「非常時」という
言葉によって 1923 年の関東大震災において朝鮮人虐殺が行われ、その後に治安維持法が
制定された歴史や、2001 年の 9・11 事件後のアメリカでは緊急時だということで「愛国
者法」が制定されたことを知っています。重大なことは、監視社会化は緊急事態の名のも
とに進行すると、それが解除されても以前の状態にもどらないことです。私たちは、コロ
ナ対策を利用し、監視社会化への道を強化しようとする動きを絶対に見逃してはなりませ
ん。
いま社会はコロナの脅威の下で重大な試練を迎えています。こういう時期だからこそ「命
か人権か」かという二者択一ではなく「命も人権も」という姿勢が問われています。


2020 年 5 月 10日
共謀罪 NO !実行委員会
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会